県図協だより

第228号(R2.3)

投稿日時: 2021/10/01 .

第228号(R2.3)

令和元年度先進地視察研修報告

投稿日時: 2021/10/01 .

1 目 的   図書館運営の参考にするために,先進地あるいは特色ある取組をし

          ている図書館を視察する。

 

2 期 日  令和2年2月26日(水)~27日(木)

 

3 視察先  豊後高田市立図書館(館長 金谷精司 職員7人)

       大分市立図書館(館長 後藤益信 職員9人     委託48人 )

 

4 研修者  松下 あゆみ (湧水町くりの図書館 司書)       

 

5 日程及び研修内容

 ≪2月26日(水)≫14:00~15:30 豊後高田市立図書館

  平成25年に新図書館としてオープンした豊後高田市立図書館は,大きな窓から

 外の光が入り,とても眺めが良いつくりの図書館であった。幅広い世代の方が分か

 りやすいようにそれぞれの端末の機能や案内がはっきりと明記されていて,貸出・

 返却は利用者自身で行うことができる。蔵書規模は16万冊とのことであったが,

 現在はまだ余裕があり窮屈過ぎず,本を探しやすい書架が印象的であった。

  日々,多様化する市民のニーズや高度情報化社会へ対応できるよう様々な取組が

 なされている。インターネットを活用しての取組としては,データベースサービス

 や学習室へのiPadの貸出以外にも,登録制で使うことができるMyページがあ

 る。個人で予約や延長,読書マラソン(月ごとの貸出冊数や到達度をグラフ等で表

 示することができる),貸出履歴の保存など,便利な機能が多くあり自身で読書記

 録を管理することができる。紙媒体での管理を求める方には,読書手帳がある。専

 用の端末から,借りた書籍のタイトルがシールに印字,出力され,シールを自身の

 ノートに貼ることで自分の読書手帳をつくることができる仕組みである。特に子ど

 もたちに好評で,本を借りることのモチベーションの向上にも一役買っているとの

 ことであった。ネット,紙媒体と,それぞれ好きな方を選択し活用できることは,

 利用者ニーズに寄り添った取組であると感じた。

  地域に密着した図書館として学校図書館支援や障がい者サービス,地域と協力し

 た講座の開催にも力を入れている。まず子どもたちに対しては,スクールサービス

 デー(図書館の休館日を活用し,図書館見学や蔵書を用いての調べ学習・紙芝居で

 図書館の使い方を学ぶ)体験ができる取組があった。貸し切りの図書館を使い,図

 書館の活用方法を知ることで,自分で学ぶ力が身に付き,生涯学習の基礎が構築さ

 れるため大変素晴らしい取組だと感じた。

  また,75歳以上の高齢者の方や障がいのある方に対し,無料で本を届ける宅配

 サービスや音声PC,音声読書機,音訳機が使える対面朗読室がある。現段階では

 利用者は多くないということだったが,図書館に出向くことが困難な場合など利用

 者が必要とするときに,図書館にこのような仕組みができていると便利である。

  その他,地域と連携し,市が開催する「学びの21世紀塾市民講座」では,年間

 50タイトルも図書館が担当し古典や健康講座を開いている。少ない人数で,これ

 だけたくさんの取組ができることの一つとしてお話会や展示などローテーションで

 担当するなど,全員がどんな仕事でもできるよう職員のスキルアップにも努めてい

 る。受け身ではなく,積極的に地域とつながり,運営されていることが,貸出冊数

 がV時回復している理由だと感じた。

 

≪2月27日(木)≫13:00~14:30 大分市民図書館

  大分市民図書館は,「人・文化・産業をネットワークで結び進化する図書館」を

 キャッチフレーズに掲げている。この言葉どおり,それぞれの分野が図書館を通し

 てつながり,成長していけるようイベントや講座,ボランティア活動等活発に取り

 組まれている。また,生涯学習として乳児から高齢者まで成長段階に応じて図書館

 との関わりが持てるような仕組みがなされている。

  はじめのきっかけとして,「赤ちゃんとえほんのじかん」という取組がある。赤

 ちゃん向けの絵本の読み聞かせをするわけではなく,絵本を使って赤ちゃんと楽し

 い時間を過ごしてもらえるよう企画されたもので,親子に本との関わり方を伝える

 目的がある。家に帰ってからも参考にでき,生活の一部として本を取り入れやすく

 なる良さがあると感じた。

  小学生になると「家読ノート」がつけられ,現在では小学生向け,中高生向け,

 一般向けと3種類の「家読ノート」がある。自分が読んだ本を記録として残すこと

 ができ,感想も書き込むため,過去の自分がその時どう感じたのか知ることができ

 る。市内の小学1年生に配布を始めて2年目になる。保護者からのコメント記入欄

 もあるため,親と子のコミュニケーションのきっかけにもつながると同時に,家庭

 と図書館をつなぐ役割を担っていると感じた。

  また,地域の方に対しての講座も充実している。高齢者施設や学校などでの活動

 を支援することを目的として,初心者の方を対象に読み聞かせの講座を行ったり,

 中級編ではブックトーク講座も行ったりしている。図書館で学んだことを利用者が

 地域に持ち帰り活用していくことで,図書館を中心に活動の輪が広がっている。そ

 のほかにもデータベース講座など,図書館にあるものを利用者が有効活用できるよ

 う支援を行っている。

  地域とのつながりを強く感じたのは,ボランティア活動である。決められた時間

 の枠で,いつ来て活動してもよく,ひとりひとりの負担が少ないため,登録者数が

 伸びている。地域全体でサービスの充実を図りながら図書館運営をしていることが

 図書館が大切にされる要因の一つだと感じた。

  大分市民図書館は,乳幼児から小学生・中学生といった成長段階によって図書館

 としてのサポートが行われており,その後も地域として関わっていくことで,生涯

 を通して図書館とのつながりが強い場所であった。多くの取組をされる中で,職員

 のスキルアップにも努めている。窓口を民間に委託し,定期的に研修を行うことで

 常に市内全域のニーズに応えられるサービスの提供の強化に力を入れている。まさ

 に進化し続ける図書館であると感じた。

 

6 総括

  今回2つの図書館に研修視察に行かせていただき感じたことは,どちらの図書館

 も情報化社会の中で変わり続ける利用者のニーズに応えるため,日々様々な取組を

 されているということだ。本を通して個人とだけつながるのではなく,人から人へ

 とつながっていく活動や就職支援コーナーの設置など,多岐にわたり図書館が様々

 な役割を担っていた。両図書館とも図書館機能の充実を図るため,常に地域や学校

 との連携を図っている。図書館としての役割を果たすためには,地域・学校とつな

 がり利用者のニーズを知ることがとても重要だと感じた。その結果,両図書館は地

 域の拠点となり,愛される存在になっている。

  今回の視察研修をもとに,今後はさらに情報収集,発信の場として利用者に寄り

 添った図書館運営に励んでいきたい。

わが町の読書グループ~南薩支部 ~

投稿日時: 2021/10/01 .

「おひさまおはなし会」 ~指宿市~

 「おひさまおはなし会」は,平成20年度に立ち上げられた旧指宿市内の小中学校に勤務する9人の学校図書館事務職員(学校司書)によるグループです。

 旧指宿市内の小学校6校,中学校3校に出向き,学校間や公共図書館と連携を取りながら,年間9回のおはなし会を実施しています。

 小学校では昼休みに20~25分程度のおはなし会を,中学校では朝読書の時間(15分間)を利用し,読み聞かせやブックトークを行っています。

 また,指宿図書館で行われている「おはなしのとびら」でのおはなし会も実施しており,絵本の読み聞かせやブックトーク,ペープサート,パネルシアター,おはなし小道具,指あそびなど,学校図書館事務職員一人一人の持ち味を生かした多岐にわたる手法を用い,話し手と聞き手が楽しいひと時を分かち合いながら,和やかな時間を過ごすことができています。

 指宿市の子どもたちの読書活動の充実と,学校図書館事務職員としてのますますのスキルアップのためにも,手を替え品を替え子どもたちを飽きさせない取組を続けていきたいと思います。

【 おはなし会の様子 】

 

 

わたしの図書館(室)のここに注目!!~奄美支部・伊仙町~

投稿日時: 2021/10/01 .

~伊仙町中央公民館図書室~

 伊仙町中央公民館図書室では,毎月第一土曜日の午後2時から定例おはなし会を実施しています。絵本や紙芝居などの読み聞かせをした後,月々に合わせた制作も行っており,「毎月楽しみにしています」と親子連れで来られる方々が楽しく過ごしています。

 また,夏休みの終わり頃には「図書かんも~れ」を開催。大型絵本やパネルシアターなどの読み聞かせを行っています。

 子どもたちが楽しみにしている「クリスマス会」では,毎年来る‟サンタクロース”に子どもたちが大興奮。サンタクロースと対戦するじゃんけん大会は,会場全体が大盛り上がりです。子どもたちが帰る際には,サンタクロースから手渡しでお菓子のプレゼントをもらって大喜び。一緒に写真撮影をして,名残り惜し気に帰っていきます。

 伊仙町中央公民館図書室は,利用者の皆様の声を聞きながら,これからも頑張っていきたいと思います。