令和5年度海音寺潮五郎記念文化講演会を開催しました。

令和5年度海音寺潮五郎記念文化講演会を開催しました。

 

 

令和5年度は鹿児島国体・かごしま大会の開催等により,例年より2か月遅い12月16日(土)に開催しました。

当日は,風が冷たく,小雨が降る天気ではありましたが,たくさんの方の御参加をいただきました。 

また,本年度は,海音寺潮五郎先生の御子息も御来場くださいました。

 

前半は,霧島市立国分中央高等学校放送部の皆さんが,海音寺潮五郎 作『西郷隆盛~王道の巻~』から「官軍,箱根を越ゆ」の場面を朗読してくれました。

勝海舟から「兵を箱根から東にへ入れてくれるな」という旨の手紙を受け取り,西郷が各隊の隊長に見せるという場面です。

西郷の言葉を鹿児島弁で朗読するなど,素晴らしい朗読でした。

 

【 開会のあいさつ 】   【 霧島市立国分中央高等学校放送部による海音寺作品の朗読 】

 

【参加者の感想】

〇 朗読をした高校生の皆さんが素晴らしかったです。

〇 登場人物になりきり,発音,調子,方言などもインパクトがあり,良かったです。

〇 歯切れのよい朗読で,その場面が目に浮かびました。鹿児島弁のイントネーションが入ったところも良かったです。

〇 朗読は,読書することだけでは得られない感動があります。本日の朗読を聞いて,改めて,『西郷隆盛』を読んでみたくなりました。

 

後半は,『漂砂のうたう』にて第144回直木賞を受賞された作家 木内 昇(きうち のぼり)先生に御講演いただきました。「時代と個人」という演題で,幕末の外交を支えた人物の話,明治維新前年の 1867 年(慶応3年)の第2回パリ万国博覧会の薩摩のエピソード等,歴史の裏側で活躍した人物に焦点を当て,当時の日本人の志の高さ,生き様など,珍しい当時の写真を紹介しながらお話いただきました。 

  【参加者の感想】

〇 時代に生きた個人の生き方,在り方をどう見るかという視点を考えさせられる木内氏の奥深さ,人間観に共感できました。無名有力の人間にもっと光と価値を見出す生き方を追求したいと思いました。

〇 あまり表に出ない幕末史を聞けて良かった。「遣欧使節団」「遣米使節団」「スフィンクスと武士」など紹介された写真も初めて見るものでした。

〇 木内先生の作品の重厚さは,やはり歴史と個人との関わり,その人生を深く見つめておられるからこそだと感じました。

〇 幕末期の幕臣の外交上の苦労,幕府と薩摩の視点の違いなど大変興味深い講演であった。

 

 

今回講演をいただいた木内先生の作品は当館に所蔵しております。(書棚にない場合は,カウンターにお尋ねください。)

【 木内 昇 先生の書籍 】